~運動・禁煙・節酒のすすめ~
下高井戸脳神経外科クリニック院長の高橋里史です。
こちらは、2025年9〜10月に杉並区下高井戸で開院予定の「下高井戸脳神経外科クリニック」の求人サイトです。
本日は、求人のお話から少し離れて、生活習慣と生活習慣病、そして健康寿命に関するお話をさせていただきます。
健康寿命とは?
「健康寿命」とは、健康上の問題で日常生活が制限されることなく過ごせる期間のことを指します。
医療の進歩で平均寿命が延びる一方、要介護や寝たきりで過ごす期間も長くなっていることが問題視されています。
私たち一人ひとりが、自身の体を正しく知り、予防・改善に取り組むことが、健康寿命を延ばす鍵になります。
運動・禁煙・節酒はなぜ大切か?
近年、日常生活の中で体を動かす時間が減っており、身体活動の不足は世界的にみても死亡リスクの第4位とされています。日本国内でも、喫煙・高血圧に次ぐ第3位の死亡要因として、運動不足が挙げられています。
また、運動不足によって悪化する生活習慣病(高血圧、脂質異常症、糖尿病など)は、脳卒中・心筋梗塞・慢性腎臓病などの重篤な疾患の原因となり、結果として要介護の状態へとつながる可能性があります。
これら要介護の状態へつながる可能性がある疾患に罹患するリスクを下げるには、「適度な運動」に加えて「禁煙」「節酒」「食事の改善」といった自己管理=セルフケアが極めて重要です。
禁煙と節酒の目安
運動のお話の前に喫煙と飲酒に関しても確認しておきます。
●禁煙
たばこは、少量であっても健康への悪影響が避けられません。
「少しだけなら大丈夫」はありません。健康寿命を延ばすためには、完全な禁煙が必要です。
●節酒
お酒は適量を守って楽しむことが重要です。以下は、純アルコール20g(エタノール20mL)に相当する飲酒量の目安です。
飲み物 | 目安の量(20g相当) |
---|---|
ビール(5%) | 約500mL(中瓶1本) |
ワイン(12%) | 約167mL(グラス1杯強) |
焼酎(25%) | 約80mL(グラス半分) |
日本酒 | 約133mL(一合弱) |
ウイスキー・ウォッカ・テキーラ | 約50mL(ショット2杯程度) |
生活習慣病リスクが高まるとされる目安:
男性:1日40g以上/女性:1日20g以上
運動は「今より少し多く」から
運動は、始める時期よりも、継続することが大切です。たとえ短い時間でも、日常の中に取り入れることで効果が期待できます。
成人(20~64歳)
- 身体活動:1日60分以上(約8,000歩)
- 運動:週60分以上(週4メッツ・時)
- 筋力トレーニング:週2〜3回
- 長時間の座位を避け、こまめに立つ・動く習慣を意識
高齢者(65歳以上)
- 身体活動:1日40分以上(約6,000歩)
- 多要素運動(筋力・バランス・柔軟性):週3回以上
- 筋力トレーニング:週2〜3回
- 座位時間を減らし、可能な範囲で体を動かす
METs(メッツ)とは?
METs(メッツ)とは、運動の強度を示す単位です。
安静に座っている状態を「1メッツ」とし、数値が高いほど運動が強度の高いことを意味します。
活動内容 | METsの目安 |
---|---|
読書・テレビ視聴 | 1.3 |
掃除機がけ | 3.3 |
ゆっくり歩く | 2.0 |
普通の速さで歩く | 3.0 |
自転車(軽め) | 4.0 |
階段昇降 | 4.0〜8.0 |
ジョギング | 8.0 |
水泳(平泳ぎ) | 6.0 |
ヨガ(ハタヨガ) | 2.5 |
推奨される活動量:
成人:週23メッツ・時以上/高齢者:週15メッツ・時以上
安全に運動するために
- 一度に長時間行う必要はありません。短い時間の積み重ねが効果的です
- 運動前後のウォームアップ・クールダウンを忘れずに
- 水分補給・ナトリウム補給を意識し、夏場の脱水を予防
- 翌日に強い疲れが残る場合は、運動量や強度を見直しましょう
下高井戸脳神経外科クリニックにおける「先制医療」の取り組み
当院では、MRIを用いて脳卒中の“未病”段階の兆候を捉えることを重視しています。
また、脳卒中の既往がある方には、再発の要因を考慮し、それぞれに適した再発予防策を立案いたします。
私たちはこのようなテイラーメードの先制医療を通じて、患者様お一人おひとりの健康寿命延伸をサポート致します。
■ 生活習慣病改善への伴走支援
少なくとも月に1回以上の診察を通じて、理想的な生活習慣の獲得と生活習慣病の改善を目指します。
- MRIによる脳・血管の評価:年に1度(病態により3か月~2,3年に1度)
- 採血による血液検査結果の評価:適宜
- 体重・BMI・血圧などの評価:毎診察時
- 生活習慣(運動・飲酒・食事)の確認:毎診察時
これらを丁寧に確認しながら、具体的な目標(例:「毎日20分歩く」「週3回運動」「間食を控える」「禁煙を継続」など)を一緒に設定し、現実的な行動計画を立てていきます。
「健康診断で気になる結果が出たけれど、どうすればよいかわからない…」
そんなお悩みをお持ちの方も、どうぞお気軽にご相談ください。
参考資料
- 厚生労働省『健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023』
- 厚生労働省『生活習慣病対策(療養計画書等の取扱い等について)』
- 厚生労働省『標準的な健診・保健指導プログラム(令和6年度版)』
小さな一歩が、大きな未来をつくります。
ご自身の健康と向き合うきっかけとして、当院をぜひご活用ください。